巻き爪と矯正治療
巻き爪とは?|原因・症状
爪のカーブが強まって巻き爪になると、爪の端が皮膚に食い込み、痛みや炎症、場合によっては感染症や肉芽の形成を引き起こすことがあります。
巻き爪と陥入爪
爪のカーブが強まった状態の爪を「巻き爪」と言います。巻いた爪は、その端が皮膚に食い込みやすく、痛みや炎症を起こすことがあります。こうした状態を「陥入爪」と言います。
肉芽や皮膚の炎症が起きる仕組み
爪が皮膚に食い込むことで、局所的な圧迫と摩擦が発生し、皮膚が傷つきます。その結果、痛み・腫れを伴う炎症が起こり、傷ついた皮膚が修復反応として肉芽組織を形成することがあります。
巻き爪の主な原因
靴の影響
足先が狭い靴や、先の尖った靴、ハイヒール・ローファー・ブーツなど、足の甲でしっかり固定できない靴を履くと、爪に不必要な圧力がかかり、巻き爪が進行しやすくなります。また、爪を短く切りすぎたり、斜めに切ってしまうことも原因となります。正しい爪の切り方を心がけることが、予防に大変重要です。
姿勢や歩き方
誰しも個人個人の歩き方には癖があるものです。前屈みの姿勢や前足に重心が偏った歩き方は、足の親指の爪に過度の負担をかけるため、爪が皮膚に食い込みやすくなります。
正しい爪の切り方
爪の両端を深く切り込んだり、過度に短くカットすると、爪が巻きやすくなります。そまた、陥入爪の痛みを解消するためにやむを得ずに爪を短く切ると、さらに巻き爪のカーブが強まり、悪循環に陥る恐れがあります。痛みがすぐに引かない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、皆さんの爪を拝見すると多くの方が両端を丸く切りすぎているケースが見受けられますので注意しましょう。
巻き爪の治療法
治療の基本的考え方
巻き爪による症状は、爪が皮膚に当たることによって引き起こされます。治療の目標は、爪が皮膚に当たらないように調整することです。症状が軽い場合は、靴の選び方やテーピングなどの保存療法で改善が期待できます。しかし、痛みや腫れが強く、爪が深く皮膚に食い込んでいる場合は、巻き爪矯正治療が適応となります。また、感染が見られる場合は、抗生物質の内服が必要です。
保存療法(テーピング・コットンパッキングなど)
テーピング
爪の際に貼ったテープを下に引き下げて固定し、痛みを起こしている皮膚と爪との接触を軽減する方法です。
コットンパッキング
爪楊枝などを使って、綿花を爪と皮膚の間に詰めてクッションを作ることで、皮膚を爪から守る方法です。
痛くない巻き爪矯正法(ワイヤー・プレート)
当院では、中等度以上の症例に対し、以下の3種類の矯正法を使い分け、爪の形状を根本から改善する治療法を行っています。
SH(そがわ)ワイヤー
香川県の整形外科医・十川医師が開発された矯正法です。ワイヤーの片方の端はフック状に加工され、このフックを巻き爪に引っ掛け、反対側の端を接着剤で爪に固定します。
肉芽のある痛みのある症例にも適用可能です。ワイヤー装着中にスポーツをしても外れにくい利点があります。
ペディグラス
ペディグラス社が開発・特許取得したプラスティック製のプレートを用いた矯正法です。巻き爪のタイプに合わせた数種類のプレートが用意されており、応用範囲が広いのが特徴です。また、透明に近い色調のプレートのため、装具が目立たず整容面でも優れています。
B/S ブレース
ドイツで開発された、薄いプラスチック板状の装具を専用の接着剤で爪の表面に貼り付ける矯正法です。半透明で仕上がりが目立ちません。また、矯正力が緩やかなため、薄い爪の巻き爪矯正や他の治療後の再発予防にも使用しています。
巻き爪矯正治療スケジュール
初診時
通常の診察にて爪の状態をチェックいたします。矯正治療を開始する場合は、巻き爪専用の予約(30分以上の予約時間を確保)をお取りいただきます。
治療開始後
矯正治療実施後、1週間後に再来院いただき、爪の状態を確認します。
定期フォローアップ
その後、1ヶ月に1度の来院で爪の削り、装具の調整・交換を行います。通常、矯正のための装具は月1回の交換が必要となり、治療期間の目安は約半年です。ただし、症状の軽度の場合は1回の矯正で完治することも、重症例では1年以上かかることもございます。
当院では、通常の診察とは別に巻き爪専用の予約診療を行っています。巻き爪でお困りの患者様はぜひ相談してください。
巻き爪治療の費用と保険適用について
治療費について
通常の保険診療の自己負担に加え、以下の自費施術費用が発生します。
1本のワイヤー(または1枚のプラスティック装具) 7,000円
2本のワイヤー(または2枚のプラスティック装具) 10,500円
巻き爪を防ぐ日常生活のポイント
姿勢
前屈みの姿勢は足指に余計な負担をかけます。正しい立ち姿勢・歩行姿勢を心がけましょう。
歩き方
重心を少し後方、かかと寄りに移し、腰やお尻、太ももの裏側の筋肉を意識して動かすことで、足先への負担を軽減できます。
靴選び
足先に十分なゆとりがあり、足の甲をしっかりと固定できるひも靴を選び、靴紐を適切に絞めることが重要です。靴の中で足が前方に移動すると、爪が靴に当たりやすくなるためローファー・ブーツ・ハイヒールは避けることをおすすめします。
正しい爪の切り方とタイミング
爪は直角に切ることを基本とし、角を丸めすぎないように注意しましょう。定期的な爪のケアが、巻き爪の発生リスクを低減します。
爪用保湿やテーピングの方法
日常的な保湿や、軽度の症状の場合はテーピングを活用することで、爪と皮膚の摩擦を和らげることが可能です。
医療機関で行う予防的ケア
定期的な診察や爪のメンテナンス、そして必要に応じた装具療法により、再発防止と重症化の予防に努めることができます。
このページでは、巻き爪の原因、症状、治療法、予防策について詳しく解説しています。お悩みの症状がございましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。患者さまの健康と快適な生活をサポートするため、私たちは全力で取り組んでおります。