にきび
尋常性痤瘡(にきび)
ここでは、ニキビについて以下の項目について解説します
- ニキビの種類と症状について
- ニキビの原因とは
- ニキビができるメカニズム
- ニキビの治療法
- スキンケアや日常生活のアドバイス
ニキビの症状と種類
にきびは医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚疾患です。皮脂が多く分泌される顔や背中、胸元などにできやすく、以下のようなタイプに分類されます。
• 白にきび:皮脂が毛穴に詰まり始めた初期段階
• 黒にきび:毛穴が開き、皮脂が酸化して黒く見える状態
• 赤にきび:炎症を伴い、腫れや痛みを伴う場合もあります
思春期にできるにきびと、大人になってから繰り返す「大人にきび」では原因や治療法が異なる場合もあります。
ニキビの原因
にきびは下に示す様なさまざまな要因が重なって発症します。治りにくいニキビの原因は,人によって異なるので、どこに気を付けてスキンケアや生活習慣を見ていけばよいのかを考える際に、ぜひ参考にしてください。
• 皮脂の過剰分泌
• 毛穴の詰まり(角質の異常)
• アクネ菌の繁殖
• ホルモンバランスの乱れ
• ストレスや便秘、睡眠不足
• メイクや洗顔の影響
にきびができるメカニズム
思春期以降、おでこや頬などの部位で皮脂が盛んに分泌されるようになります。そうすると、もともと毛穴に住んでいたアクネ菌(皮脂が大好物です)が増殖して、皮脂を脂肪酸に変えます。その脂肪酸が毛穴の皮膚を刺激する作用を持っているために、毛穴が詰まってしまいます。詰まった毛穴の中で皮脂や角質がたまった結果、毛穴を中心に白く盛り上がって出来たものが白ニキビです。白ニキビはやがてアクネ菌がさらに増殖するなどして炎症が起こってきます。これが赤ニキビの始まりです。
にきびの治療法
毛穴が詰まりやすくアクネ菌が増殖しがちな肌(ニキビ肌)から、毛穴の詰まりがとれスベスベした元の肌を取り戻すことが、治療のゴールです。
当院での治療法には以下のようなものがあります。
• 抗菌薬(外用・内服)
赤ニキビが次々と出て来る場合は、短期間抗生物質を飲むことで、症状を抑えることが出来ます。抗生物質の塗り薬も赤ニキビに効果があります。ただ、耐性菌の心配がありますので抗生物質の使用は短期間にとどめて、他のお薬や生活習慣の改善でニキビが出なくなるのを目指しましょう。
• レチノイド系外用薬(毛穴詰まりを改善)
詰まった毛穴の角質をめくり落として、綺麗な毛穴を取り戻す効果があります。ニキビが治るのに一番効果のあるお薬なのでぜひ試してください。ただ、この薬は肌荒れを起こしやすい副作用があります。特に、塗り始めの頃に起きやすいので注意が必要になります。
• ビタミン剤や漢方薬など体質改善を目的とした内服
食生活に偏りがある場合などはビタミン剤が効果があります。ニキビ跡の予防・色素沈着にはビタミンCを試しても良いと思います。また、ニキビに効く漢方も数種類ありお勧めです。
ニキビのスキンケアと生活の工夫
~お肌にやさしく、無理なく続けるために~
はじめに
ニキビ(尋常性ざ瘡)は、多くの方が悩む肌トラブルのひとつです。
治療には時間がかかることもありますが、正しいスキンケアと生活習慣を意識することで、悪化を防ぎ、再発もしにくくなります。
このページでは、ニキビを悪化させにくい生活のコツや、スキンケア、治療中によくある疑問にお答えしています。
【基本のスキンケア】
1. 洗顔は1日2回、やさしく
・朝と夜の2回で十分です。
・泡立てた洗顔料で、泡の厚みを感じつつ、手のひらを顔の肌からわずかに浮かせて、 数秒間やさしくすべらすように洗いましょう。
・熱すぎるお湯はやシャワーはNG。ぬるま湯ですすいでください。
2. 洗顔後はすぐ保湿
・ニキビ肌でも乾燥は大敵です。
・「ノンコメドジェニック」や「敏感肌用」の保湿剤を選びましょう。
・肌荒れが起きている場合は、普段使えている化粧水や日焼け止めが刺激になっています。いちどお薬の保湿剤で2週間様子を見て、肌の回復を待ちます。
3. お薬の刺激を減らすコツ
ベピオゲル,デュアックやエピデュオゲルは、ニキビにとてもよく効くお薬ですが、はじめのうちは赤み・乾燥・ヒリヒリ感などの肌荒れが出ることがあります。
これはお薬の作用による一時的な反応で、多くの場合は数週間で落ち着いてきます。
でも、少し工夫をすることで、こうした肌荒れを軽くすることができます。
①最初は少なめ・部分的に使いましょう。
・最初の1週間ほどは、赤くなりやすい部分(口まわり・目の周り・頬)は避けておでこから使いはじめましょう。お肌が慣れてきたら、少しずつ塗る範囲を増やしていきましょう。
・お薬は顔全体に1日1回寝る前に塗るのが目標ですが、最初は1日おきから始めるのがおすすめです。
・刺激が強い場合は、肌荒れが治るまで1週間休薬しましょう。お薬を再開するときは、寝る前にお薬を塗って15分経ったら洗い流してください。
②洗顔後はすぐに保湿を
・お薬を塗る前に、しっかり保湿して肌を整えておくことが大切です。
・洗顔後はできるだけ早く、刺激の少ない保湿剤(化粧水・乳液・クリームなど)を使いましょう。普段の保湿剤でも乾燥が続く場合はいったん休んで、お薬を使うのが近道です。クリニックで相談してください。
③お薬の後にも保湿OK
・お薬を塗った後に、保湿クリームを重ねても大丈夫です。
・とくに乾燥しやすい季節や部位(頬や口元)は、重ねて保湿すると肌が守られます。
④肌に優しいスキンケアを
・洗顔は朝晩2回まで、ゴシゴシ洗わずにやさしく泡で洗いましょう。
・アルコールやピーリング成分が入った化粧品は、刺激になることがあるので注意してください。
⑤症状が強いときは中止して相談を
・赤みや痛みが強くなった場合は、無理に続けずに一度使用を中止しましょう。
・落ち着いたら再開できることもありますので、遠慮せずにクリニックにご相談ください。
【まとめ】
ベピオ・デュアック・エピデュオは、ニキビに効果の高いお薬ですが、最初はお肌がびっくりしてしまうこともあります。
**「少しずつ」「しっかり保湿」「無理せず」**を意識して、お肌と相談しながら治療を続けていきましょう。
【生活習慣のポイント】
・睡眠をしっかり
夜更かしを避け、7時間は寝ましょう。
・バランスのよい食事
甘い物、脂っこいものは控えめに。野菜を多めに取りましょう。
・ストレスケアも大切
忙しい毎日です。1日1回1分でいいので、ゆったりと椅子に腰掛け、今の呼吸に意識を向け
ながら、ゆっくりと深い呼吸を味わう、一人だけの優雅な時間を作って下さい。
にきびケアQ&A
Q①:刺激の少ない化粧品に変えて、やさしく洗っているのに肌荒れが治りません…
A:お肌の回復には少し時間がかかることがあります。
バリア機能が弱っていると、刺激が少ない化粧品でもピリピリ感じることがあります。また、知らないうちに摩擦や乾燥、季節の変化などの影響を受けていることも。
次のような点も見直してみましょう:
•洗顔やスキンケア後にすぐ保湿できているか
•使い慣れた化粧品がふたんになっていないか、今の肌質をチェック
•寝不足やストレスがたまっていないか
お肌の状態がなかなか良くならない場合は、自己判断で続けるよりも、一度ご相談ください。今のお肌に合ったスキンケア方法やお薬を一緒に考えていきましょう。
2週間全ての化粧品を中止して、お薬のみで我慢するのがおすすめ。日焼けが気になる、化粧をしないといけない日はパウダーファンデーション(ノンコメドジェニック)のみを塗り、早く帰宅して優しく化粧を落としましょう。
Q②:ニキビにいいバランスの取れた食事って、具体的に何を食べたらいいの?サプリもとったほうがいい?
A:基本は「野菜多め+甘いもの少なめ+脂っこい食事少なめ」がポイントです。
特におすすめの食材は以下のようなものです:
•ビタミンB群(肌の代謝を助けます):豚肉、納豆、卵、レバーなど
•ビタミンC(炎症を抑えます):ブロッコリー、いちご、キウイなど
•食物繊維(腸内環境を整えます):野菜、きのこ、海藻類、雑穀ごはんなど
•オメガ3脂肪酸(炎症を抑える):青魚(サバ、イワシなど)、えごま油
サプリは補助的に使うのはOKですが、「食事の代わり」にはなりません。
肌荒れ対策として人気のあるビタミンB2・B6・Cなどのサプリを、無理のない範囲で取り入れるのは良いでしょう。心配な方は医師にご相談ください。
Q③:ストレス対策になる、取り入れやすい体を使ったリラクゼーション法や呼吸法、簡単な瞑想法を教えて!
A:まずは“1日5分”からでもOK。シンプルで続けやすい方法をご紹介します。
● 呼吸法(腹式呼吸)
1.背筋を伸ばして、椅子に座るか仰向けに寝ます
2.鼻からゆっくり息を吸って、おなかをふくらませる(4秒)
3.口からゆっくり長く吐き、おなかをへこませる(6~8秒)
→ 3~5分繰り返すだけで、副交感神経が優位になり、リラックスできます。
● 体をゆるめるストレッチ
•肩を大きく回す、首をゆっくり左右に倒す
•寝る前に軽く全身を伸ばす(前屈、手を上に伸ばすなど)
● 簡単な瞑想(マインドフルネス)
1.静かな場所で目を閉じる
2.今の呼吸に意識を集中する(「吸っている、吐いている」と心の中でつぶやく)
3.雑念が浮かんだら、「今に戻ろう」とやさしく意識を呼吸に戻す
→ 最初は1~2分から始めてOK。スマホのタイマーや瞑想アプリも活用できます。
Q④:日焼け止めが刺激になるので使っていません。刺激の少ない日焼け止めや、代わりになる化粧品はありますか?
A:敏感肌の方でも使える、刺激の少ない日焼け止めやUVカット化粧品があります。
選ぶときのポイントは以下の通りです:
•ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)タイプを選ぶ
•アルコール・香料・着色料フリーのもの
•敏感肌用・赤ちゃん用・アレルギーテスト済みと書かれている製品がおすすめ
また、日焼け止めが苦手な場合は以下の方法も活用できます:
•UVカット効果のある化粧下地やファンデーション
•帽子や日傘、マスクなどの物理的な遮光